赤痢アメーバ症 ~ 大腸内視鏡検査
赤痢アメーバ症 amebiasis:
Entamoeba histolytica
赤痢アメーバの感染が原因となる原虫性疾患です。
経口的に摂取された嚢子が脱嚢して栄養型となり、大腸組織に侵入して発症します。
熱帯・亜熱帯の開発途上国からの輸入感染症と一般的には考えられてきましたが、最近では男性同性愛行為(まれに異性愛行為)による感染、施設内感染などの国内での感染が増加しています。
海外渡航がない場合はまず疑わなければいけなくなりました。
しかし、同性愛者でない場合がありますので、決めつけは大きな誤解を生じ解決しない場合がありますので注意が必要です。
栄養型虫体が大腸組織内に入ることで発症するため、本来は腸アメーバ症から始まり血行性に広まりますが、肝臓などの腸外組織で発症する場合もあります。
腸アメーバ症の潜伏期は数週~数か月です。
糞便中に嚢子を排出する無症状感染者もいますので感染源としては重要です。
下痢と腹痛が初発症状の事が多いのですが、何も症状がない場合もあります。
下痢は軽度なものから1日数回~10数回に及ぶものまであり、イチゴゼリー状の便(血液成分が糞によく混和した状態)が特徴です。
腹痛やテネスムスは軽度で発熱はなく、全身状態は比較的良好に保たれるため、診断までに時間を要することが多い多いです。
放置すれば病変が進行して腸穿孔や皮膚への穿孔を引き起こし重症化する場合もあります。
内視鏡検査で直腸やS状結腸に潰瘍を認めることが多いですが、時には回盲部にも病変を認めます。
多発する不整形潰瘍と潰瘍周囲に噴火山状に見える浮腫が特徴です。
重症化すると潰瘍が癒合し穿孔する場合がある。
潰瘍性大腸炎に比較して潰瘍間の粘膜は正常像に近い。
生検組織のPAS染色で原虫を証明すれば診断が確定しまし、糞便検査で栄養型もしくは嚢子が検出される事が必要です。
問診で確認が取りにくいのですが、男性同性愛者の場合には他の性感染症の合併も考慮する必要があり問診の場所、聞き方に配慮が必要です。
治療は化学療法です。
第1選択薬はメトロニダゾールで、0.75~2gを10日間投与。
重症例や経口投与が不能の場合にはメトロニダゾール注射薬を使用する事があると記載されているようですが自分は経験がありません。
無症候性嚢子排出者に対してはフロ酸ジロキサニドを用いるとされています。