腸閉塞の検査所見 ~ 大腸内視鏡検査
急性腹症として対応するのが原則です。
特に絞扼性イレウスの場合には、外科的処置を含めて緊急の処置が必要となるために早急な診断が必要です。
血液・尿所見
単純性イレウスの場合には、病態の項で述べたように、脱水状態に陥りやすく電解質異常を生ずる場合があり注意が必要です。
脱水により血液濃縮が起こり、血液検査ではヘマトクリット値や血清蛋白質の上昇がみられ、尿量の減少や尿比重の増加を認めるます。
電解質の吸収障害や喪失により血中のNa+、K+、Cl-の低下や代謝性アシドーシスを生します。
絞扼性イレウスの場合にはより重篤な所見がある事がり、さらに腸管の壊死や腹膜炎による左方移動を伴う白血球数の増加、CRP上昇などの炎症所見が前面に出るようになります。
麻痺性イレウスの場合には水分喪失は少ないために臨床検査所見の異常は少ないえすが、汎発性腹膜炎や開腹手術後の場合は原疾患に起因する検査異常を認めるます。
腹部単純X線写真 腸管の閉塞により嚥下した空気が腸管内に貯留します。
腹部単純X線写真により貯留した空気(ガス像)の状態と形態を診断する事が望ましいと思われます。
単純X線写真は立位と仰臥位で撮影し、できる限り立位胸部写真も撮影する方が見逃しを少なくする事ができると思われています。
特殊な状況の場合も含めて、全身状態が不良で側臥位でしか撮影ができない場合もあります。
機械的イレウスであれば閉塞部の口側に拡張した腸管のガス像、麻痺性イレウスであれば麻痺腸管内にガス像を認めます。
機械的イレウスの立位像では空気と貯留液体の像〔円弧状の鏡面像niveau(ニボー)〕が特徴的である。
拡張した腸管が小腸であれば幅と間隔の狭いKerckring(ケルクリング)ひだ、大腸であれば間隔の広いhaustra(ハウストラ)ひだの形態を示します。
穿孔時には立位像で横隔膜下に遊離ガス像free airを認める事がありますが(少量のガス、遊離ガス像は立位胸部写真のほうが判別しやすい場合がります。
仰臥位像では小腸ガス像は腹部の中心部に、大腸ガス像は腹部の周辺に現れる傾向にあります。
小腸ガス像が左上腹部にある場合は空腸のイレウスで、右下腹部にある場合は回腸のイレウスの可能性が高くなります。
超音波・CT検査
単純X線写真とともに診断によく用いられるのが超音波検査です。
腸重積や腫瘍によるイレウスの診断が場合により可能で、さらに絞扼性イレウスの診断にも有用な事例もあります。
機械的イレウスでは、拡張した腸管と腸内容の移動および腸蠕動の亢進、閉塞部位より肛門側の虚脱した腸管が認められる事もあります。
絞扼性イレウスでは絞扼部位での腸蠕動が減弱し、腹水や腸管壊死に伴う腸内容の移動性の停止や腸壁の菲薄化などが出現すれば確定できるがいずれにしろエコーを専門にしている優れた技師(大学では医師の事が多い)でなければ判断は難しいと思います。
CT検査は超音波検査に比較して客観性・再現性に優れており、正確な判断を補足する場合が多いように思います。
腸管造影検査
機械的イレウスにおける閉塞の原因を検索する場合に有用です
病変が大腸にある場合は注腸造影、小腸にある場合には挿入したイレウス管から造影を行います
造影剤としてはバリウムを使用する場合と水溶性造影剤があり腸管の穿孔の可能性がある場合はバリウムの使用は避けたほうが賢明と思われます。
バリウムが腹膜へ漏れるとひどい腹膜炎が起こる可能性が極めて高いのでは麻痺性イレウスを含め基本的には水溶性造影剤を用いる事を優先する。
造影によって閉塞部位の同定と閉塞状態を把握することで今後の治療方針を決定する事ができます。
内視鏡検査
S状結腸の軸捻転の場合には、大腸内視鏡検査によって解除が可能な場合があります。
絞扼性イレウスの場合には穿孔を誘発する可能性もあり、原則としては施行しない方が安全です。
単純性イレウスで閉塞部位が大腸の場合には、内視鏡による病変の同定が必要な場合に施行し、治療方針決定の一助とする事があります。
その他の検査
直腸内指診は直腸癌などの直腸周囲の病変の同定に有用です。
診断
開腹手術などの緊急の対応が必要かどうか、他の急性腹症との鑑別が重要です。
臨床所見、検査所見などから、イレウスであるという診断と同時に時間の経過とともに単純性イレウスから絞扼性イレウスに進行する場合もあり、治療の時期を逸しないような経過観察が大切です。
必ず外科の医師か、内科の医師が主治医の場合は経験豊かな外科医との連携が必要です。